『陽だまり』ライナーノーツ:ちあき

 2023年6月14日(水)より配信が開始される『陽だまり』について語ってみようと思います。

 この曲のファーストデモができたのは、2021年頃のコロナ禍。今配信が開始されている曲は多分同じくらいの時期に書かれたものが多いと思います。最近ではその時のことを話さない人が多いように思えますが、作品を聴いているとそんな雰囲気を感じられるものが多いですよね。

 私がこの曲を書いたとき、私がいつも自分や自分の生活について満足できていないのは、環境のせいじゃなくて自分自身がかけた暗示によるものだったと気づいたときでした。

 私の住んでいたニューヨークの田舎(今はもう少し都会よりのニューヨークに住んでいます)には南米系の家族もたくさん住んでいました。私の英語の授業でできた友達はほとんどが南米系でした。コロナ禍でも週末になると庭で音楽をかけて踊っていたり。いつもニコニコ楽しそうに話かけてきてくれたりします。でもちゃんと話を聞いてみると、危険な地域からすごい思いをして国境を突破してきていたり。以前はものすごい低賃金で働いていたり、かなりサバイバルして、いまでもやっと生活していたりもします。

 対して私は、自分の能力のない部分や状況的にできないことばかりに目を向けて、大変だといっているような気がしました。今持っているものや自分のできることを挙げてみると、意外とわたしには出来ることがあるし、もう少しいろいろ出来るようにもなるんじゃないかと。そんなことを頭で考えていた時に、学生時代に友だちが教えてくれたことを思い出しました。

 冬晴れの寒い日に大学のキャンパスの歩道橋を寒いと言いながら渡っていると、友達が「手をお椀型にすると陽だまりを集められるよ」と教えてくれたことでした。その日は風が冷たく、衣類やカイロでしか寒さを凌ぐ事ができないと思っていたのに意外にも、自分にずっと降り注いでいる太陽の熱を集めるだけでとても暖かかったのです。

 私は自分の満足できる生活ができないことに、嘆いてましたが、実は私の考え次第ですぐに幸せ(私にとっての幸せ=私のままで前向きに暮らしていけること)になれたのでは。そして、私も南米出身の友達のように明るく楽しく生きることで、陽だまり(=幸せ)を他の人にも分けられる人になりたいなと。2つの出来事からこの曲ができました。

 アレンジは丸の内さんですが、私からアレンジのリファレンスとしてカントリーの曲をいくつか挙げました。理由は丸の内さんが最近カントリーギターにはまっていることもありますが、映画「アイ・ソー・ザ・ライト」をみて、カントリー歌手ハンク・ウィリアムスが日常のいろいろな思いを代弁するように、なんとも言えない気持ちや出来事を、楽しい音楽で歌っていたところを観て、歌詞の雰囲気は違えどマインドは一緒だと思ったからです。

 『陽だまり』はそんな作品です。

0コメント

  • 1000 / 1000